【IPO銘柄】株式会社Sun Asterisk
*こちらの記事は特定の有価証券の売買の推奨を目的としたものではありません。個人の考えを整理するために備忘録としてまとめており、情報の正確性を担保するものではありません。投資判断やそれに伴う損益については完全に自己責任でお願いします。
【会社概要】
・2013年創業
・従業員1,263名(上場直前期)
・2020年7月上場
【事業概要】
1)クリエイティブ&エンジニアリング
・DXコンサルタントが要件定義、リードエンジニア・UI/UXデザイナーがプロダクトリリースまで支援
・プロダクト開発とサービス運用の総合コンサル的役割
・3か月以上継続する準委任契約は「ストック型」、3か月未満の場合は「フロー」に分類
・ベトナム子会社で1000人以上のエンジニアを抱えている
・顧客割合:エンタープライズ25%、SMB75%
・ARPU:エンタープライズ平均単価はSMB平均単価の約2倍
2)タレントプラットフォーム
・国内でIT人材の発掘→育成→紹介・派遣を行う
・IT人材育成のためのプログラミングスクールを運営
・人材紹介/人材派遣/業務委託により収益発生
【ビジネスモデル】
・KPI:1)ストック型顧客数、2)ストック型顧客単価(ARPU)
・ストック型売上比率:80%以上
・月次平均解約率:3.5%
【R&D領域】
・DevOpsの自動化・高速化
・AIモジュール(画像処理・言語処理・レコメンド機能)
・ブロックチェーンの社会実装
・プログラミング教育コンテンツ
【コア・コンピタンス】
・前提:「既存業務をデジタル化するDX」「ビジネスモデルそのものをデジタル化するDX」があり、前者は従来型のウォーターフォール型開発が有効だが、後者はユーザーの潜在ニーズを中心にコンセプト設計し、仮説検証しながらサービス化させて進化させ続けるという価値創造プロセスが必要。
・A) 創業以来300件以上のスタートアップや新規事業開発支援
・B) DXコンサル、1000人規模のエンジニア
・C) DXナレッジの蓄積と共有を行うデータプラットフォーム
・D) IT人材の発掘と育成が可能
【エクイティストーリー】
・マーケットの成長可能性(「ビジネスモデルそのものをデジタル化するDX」領域)
・最新IT技術(AI・ブロックチェーン・サイバーセキュリティなど)
【財務面】
・D/Eレシオ39%(上場直前期)
・粗利率53%(上場直前期)
・営業利益率11%(上場直前期)
・当期純利益率9%(上場直前期)
・利益体質である(提出書類より過去5年にわたり黒字経営)
・トレーニング期間のエンジニアも販管費対象となり、人員増加傾向である点やトレーニング期間は無収入である点を考慮すると、営業利益は逼迫しやすい性質
・8,400万円程度未上場株に投資
【資本政策】
・創業者が34%保有
・Innovation Growth Fund、リバネスキャピタル、15th Rock VenturesがVC参加(調達額4億円、Post162億円)
・普通株式のみ発行
・ソニーネットワークコミュニケーションズへ株式譲渡(2020年2月)
【IPOオファリング】
・売出比率:51.2%
・オファリングレシオ:13.3%
・想定時価総額228億円(想定価格630円)
【所感】
・「ストック型」と「フロー型」の分類定義が、「準委任契約期間が3ヵ月以上・未満」であることに2点疑問。1点目は準委任契約をずるずると3ヵ月以上に伸ばす契約を組めば主要KPIである「ストック型顧客数」を恣意的に伸ばせること(むしろほとんど場合プロダクト開発に3ヶ月以上は要するはず)。2点目は「3ヵ月」という期間設定はストック型ビジネスにとって本当に意味のある数字なのか、ということ。
・ARPU向上のため、今後エンタープライズ顧客数をいかに上げていくかが成長のカギ。
・ベンチャー投資8,400万円程度存在している。投資銘柄がIPOなどした場合、営業外利益が生じるため潜在的なな株価上昇余地がある。
・Buzz Word(AI・ブロックチェーン・サイバーセキュリティ)などが株価先高観を生む一つの要因になっているのだろうか。